第4話 温泉は湧き続ける(後)

いくつもの温泉の凄さを教えられたこの温泉は、数年後に温泉施設で活用されました。

売りはもちろん“都会でホンモノの温泉に入れます。”温泉は大盛況となります。

それから、数年後、社長は亡くなられてしまいました。

本当にありがとうございました。

温泉施設オープンから約20年後の平成22年

その後息子さんが社長となり、丁寧なサービスで温泉施設は続けられますが、まだスーパー銭湯がほとんどない時代に建てられたお風呂ですからやはり古い感じがします。

今では周囲にも温泉施設やスーパー銭湯が建ちました。お客様の数も頭打ちです。

「社長のいわれていたようにゴミになるのかな」私は心の中で危惧していました。

「リニューアルをしてみようと思う。」

2代目社長の判断です。

なんでも結構です。ぜひ協力させて下さい。

色々な案が出ては消えます。2代目社長さんはじっくりと考え、本質を見抜きます。先代の社長さんとそっくりです。その他スタッフも努力を惜しみません。

「露天風呂を大きくして、もっと温泉を活用しよう。」

「かけ流しで排水している温泉を、ヒートポンプで再利用しよう。」

ふたつの基本方針が決まり、リニューアルがスタートしました。

リニューアルを控えた休館中のスタッフ教育や、新しい営業展開も毎日のように検討されています。温泉法の改正で可燃性ガスの対策も必要です。

リニューアル工事も紆余曲折を経て、あのプレハブのお風呂と同じように、露天風呂には鉄分・塩分たっぷりの温泉がかけ流しで注がれています。稲を枯らした温泉排水はその排熱を再利用して省エネを実現し、排水熱利用で補助金対象事業となりました。

いよいよOPENの前日を迎えました。

私は前社長に報告したくて、よく縁側で商売の話を聞かせて頂いたご自宅を訪ねました。

仏壇に手を合わせていると、現社長からご挨拶を頂きました。

私は、前社長によく「建物は建った時からゴミ、温泉は湧き続ける。」と教えて頂いた事をお話しました。

社長も「口癖のように言うてましたな~。」とほほ笑まれました。

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